【筋肉・スジの異常なちぢまり】がとれるメカニズム(原因不明の痛みにも)

この記事は筋肉やスジ(靭帯じんたいけん)を悪くしてしまった場合についての説明をしています。

■もくじ

1. 筋肉・靭帯・腱がのびたり切れてしまった場合は画像検査でわかる

2. 筋肉・靭帯・腱がちぢまっていると『原因不明の痛み』となりやすい

3. まとめとワンポイント

・この記事を書いている僕は治療家歴14年。整体・整骨院経営。専門学校その他で手技講師として活動しています。



【筋肉・スジの異常なちぢまり】がとれるメカニズム

1.筋肉・靭帯・腱がのびたり切れてしまった場合は画像検査でわかる

人間の体にはたくさんの筋肉があります。 筋肉のはじっこはけんとよばれるスジとなり骨についています。

腱の説明図

他にも骨と骨をつなぐバンドのようなスジ(靭帯じんたい)もあります。

靭帯の説明図

スポーツや事故で無理な力がかかると、これらを痛めてしまうことがあります。

筋肉・靭帯・腱を顕微鏡けんびきょうで細かくみると細い繊維せんいの集まりで出来ています。

『肉ばなれ』というのは、筋肉や筋膜きんまくの繊維が部分的に切れてしまったことを言います。

靭帯や腱スジがのびてしまっている』というのは繊維が部分的に切れ、そのぶん全体的に長くなってしまったことをいいます。

靭帯や腱スジが切れてしまっている』というのは繊維が全部切れ、完全に離れてしまっていることを言います。

部分断裂・完全断裂の説明図

筋肉・靭帯・腱が切れたのはMRIなどの検査をすれば画像としてうつります。

しかしレントゲン・MRI・CTスキャンなどで異常が出ないのに痛みがある場合は、切れているのではなく過度にちぢまってしまっている可能性が高いのです。


2. 筋肉・靭帯・腱がちぢまっていると『原因不明の痛み』となりやすい

筋肉やスジに限界以上に負担がかかると『切れてしまう』のはイメージしやすいと思います。

しかし生体は物と違ってただ切れるわけではありません。【反射】というものがおきます。

脚気かっけの検査』のようにイスに座って膝の下を叩くと足がピョンと動く正常な反射もあります。

それとは別に、大きな負担がスジ・筋にかかった時に体がびっくりして強く【異常反射】をおこし、そこからちぢみ続けてしまうこともあるのです。

筋肉・靭帯・腱の過度緊張の説明図

スジはバンドのような働きをしています。バンドの張りが強すぎれば他のパーツを引っ張ってしまい、痛みが出てしまうのです。

この生理学的内容は ロレンスHジョーンズ著『Dr.ジョーンズのストレイン-カウンターストレイン』 のP9~19に参考文献とともに詳しく書かれています。内容を簡単に説明すると、

・私達の体は脳からの電気信号で動いています。『動け!』という電気信号が脳から背骨の中のニューロンを通って手足に伝わることで筋肉が動くのです。

・その電気信号に異常なスイッチが入ってしまい、『過度に緊張しろ』という命令が(脳からではなく)脊椎から靭帯や筋などにずっと送られ続けているのです。(活動電位の誤報)

筋紡錘装置の説明図





【筋肉・靭帯・腱のちぢまり】の治し方


(1) ちぢまった部分に負荷がかからないよう体を操作します。(痛めている場所によって体勢は変わります。実際の治療のやり方は本サイトのそれぞれの記事に書いてあります)


(2) 脱力します。(治そうとしている部分は最初から最後まで完全に力が抜けていなければいけません)


(3) 約90秒間静止します。


(4) ゆっくりと元の状態に戻します。(足を治療しているなら、手の力だけで足の姿勢を戻します)


(5) 深呼吸して終了です。


例として足の裏のスジのちぢまりを治す方法を書いていきます。

①まず座ります。

②足の『つちふまず』の所を押して痛いところを見つけておきます。(痛くない場合はそもそも悪くなっていないので、治療する必要はありません)

③左手を構えて

④かかとを持ちます。

足底腱膜の治療①

⑤右手でつま先を持って

つま先とかかとを近づけるように足を曲げます。

曲げたら足の力を完全にぬいて90秒待ちます。(手の力はもちろん入っていて大丈夫です)

⑦90秒たったらゆっくりと元に戻していきます。

⑧はじめに押した『つちふまず』の所を、はじめと同じ位の力で押します。うまく治療が出来ていれば痛みが減っているはずです。

足底腱膜の治療②

これは『ツボ』や『気』や『気のせい』ではありません。

足の裏のスジ(足底腱膜)へのシナプスの異常信号を解除しただけです。








まとめワンポイント

『靭帯・腱などが過度に緊張してちぢまり痛くなることがある』 これは整形外科界ではあまり取り上げられません。

それもそのはず、その緊張の度合いを正確に測る装置がまだ病院に無いのです。

計測しにくいものは定量化できず『科学』の概念からはずれやすいです。しかし外国では『筋肉・靭帯・腱の過度な緊張による障害スパズム』が西洋医学の分野に統合されてきているので、もうしばらくすれば【スジの緊張度合をはかる装置】も登場してくるでしょう。



※緊張度合をはかるのはとても難しいです。筋硬度計などは運動の前後をはかることによってその違いを比較することは出来ますが、『正常な緊張範囲』は人によって違うので異常値を調べることが難しいのです。

※ちぢまりの治し方は『カウンターストレイン』という方法です。ストレッチの場合は『ちぢんでいるから患部を伸ばす』という考え方でよいのですが、カウンターストレインの場合は『良位置で90秒待つことによってニューロンの活動電位の誤報が解除される』という生体反応を利用しています。





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2021年1月12日東洋医学などの科学的説明