膝が痛い!【ひざ外側】の痛みの治療法(ランニングで痛い人も)
膝が痛い!【ひざ外側】の痛みの治療法
この記事は 膝の外側が痛く なっている方へむけ、自宅で自分で今すぐ改善していける方法を説明しています。
1. 痛みがでる場所の『まわりのメカニズム』の説明
2. 一人でできる一番効果的な『治し方』の説明
3. まとめとワンポイント
4. さらに細かく知りたい方へ (読まなくてもOKです)
・この記事を書いている僕は治療家歴14年。整体・整骨院経営。専門学校その他で手技講師として活動しています。
1. 痛みがでる場所の『まわりのメカニズム』の説明
膝の外側には、小さいスジ(靭帯)と軟骨があります。
小さいスジは膝がズレないように止めているバンドです。
軟骨はクッション的な役割をしています。
そして太ももの外側には、プラスチックの定規みたいなスジ (腸脛靭帯) が入っています。
スジが切れていたり、軟骨がすり減っていたり割れていたりすると、レントゲンやMRIにうつります。
『レントゲンなどに異常が無い』のに痛みが生じるのは、次に説明する〈原因〉からきていることが多いです。
2. 一人でできる一番効果的な『治し方』の説明
〈原因①〉膝の外側が炎症をおこしている。
何かのひょうしに膝が炎症をおこしてしまうことがあります。
この場合は冷やして炎症を治さないといけません。
【治し方①】
まず自宅で横になって寝てみて下さい。
まったく動かない安静状態でも『ズキズキ』とか『ドクンドクン』などと、うずいていたら炎症があります。
ビニール袋に氷と水を入れて(氷枕などでも良いです)、それをタオルで包み、膝の外側を20分間ほど冷やします。
〈原因②〉 走りすぎたり歩きすぎたりして、『定規状のスジ』が膝の横でこすれてしまっている。
人間のふとももの横には『薄いプラスチックの定規』のようなスジが入っています。人体解剖をすると「こんなものが人の体に入ってるんだ~」と不思議な気持ちになります。
このスジは膝を安定させるために人体に備わっています。
しかし膝を動かすときに、膝のあたりで骨とこすれるような形状をしています。たくさん走ったり自転車に乗ったりすると、くりかえし何度もこすれ炎症がおきてしまうのです。
さらにスジについている筋肉がこわばって硬くなると、スジが筋肉に引っ張られて上へ引かれ、膝との間の密着が強まり、よりこすれやすくなります。
『ランナー膝』や『腸脛靭帯炎』などと呼ばれる状態です。
【治し方②】(膝に炎症があってもやって大丈夫です)
定規状のスジに付いている二つの筋肉をほぐします。
・まずはお尻の筋肉です。うえむきに寝転がります。
お尻の下にテニスボールを入れます。
そのまま体重をかけてのんびりと過ごします。最初は痛く感じますが、3~5分位たつと筋肉がほぐれてきて痛みがなくなってきます。
(なんだかマヒして痛くなくなってきたなぁ)と思う感じで正解です。
(やるのはあくまでお尻の筋肉の部分●だけです。骨の所は避けます)
時間に余裕がある時は、場所をかえてお尻のほっぺの色々な所をほぐしていきましょう。一か所につき3分以上がベストなので、一度にできない時には日を分けて行ってもかまいません。
【治し方③】
・次は前側の筋肉をほぐします。
うえむきに横になって、左膝を横に開いて両手で支えます。
左足の力を抜きます。(手の力は入っていても大丈夫です)
そのまま90秒間待ち、左足の力をぬいたまま、手の力だけで足をまっすぐに伸ばしていきます。
深呼吸して終了です。
〈原因③〉 『小さいスジ』が、何かのひょうしに強い収縮をおこしている。
スポーツや肉体仕事で膝の外側に無理な力がくわわると、スジが強く収縮をしてしまい戻らなくなってしまうことがあります。
よくスポーツの現場では、「スジ(靭帯)をのばしてしまったよ~」とか「スジ(靭帯)が切れてしまったんだ…」という話が出ます。実はそれ以外にも強く収縮して固まってしまうことがあります。
スジが固まると周囲の組織の緊張につながり、軟骨に微細な歪みを生じさせることもあります。
※スジ(靭帯)のひどい緊張について詳しく知りたい場合はこちら
この『スジ』の強い収縮をとるにはコツがあります。
【治し方④】(膝に炎症があってもやって大丈夫です)
まず床に座ります。この時は背もたれが無いところがよいです。
左膝を約90度に曲げて内側に倒します。左の膝は地面に近い位置です。
胴体や、おへそは前を向いたままです。お尻の右は地面についていますが、お尻の左は浮くはずです。
両手を後ろの地面に着けて体を支えます。
形ができると左の膝に少し圧迫が加わっているのが感じられると思います。
左足の力を抜き、そのままの体勢で約90秒間ほど待ちます。
90秒たったらゆっくりと楽な体勢に戻します。
足を戻す時に右足と両腕の力のみで体を戻していきます。左足にはいっさい力を入れてはいけません。
足と体が正面になったら、一度深呼吸して終了です。
※ この形は左足の小さなスジ(外側側副靭帯)がもっとも力が抜けるポジションです。
3. まとめとワンポイント
膝の外側が痛い時は、他の筋肉がこわばって固くなり、遠くから悪影響を与えていることもあります。
この治療を行っても痛みが取り切れない時は【太もも】と【膝の最深部の筋肉】をほぐすとより効果的です。
4. さらに細かく知りたい方へ (読まなくてもOKです)
膝の外側が痛い時に、ランナー膝(腸脛靭帯炎)や外側半月板損傷、外側側副靭帯損傷は疑われることが多いです。もちろんそれらが原因のことも多いので、しっかりと検査してもらいそれらがあった場合はそれに適した処置が必要です。
しかし【原因③】で説明した 外側側副靭帯の過緊張 は見逃されてしまうことが多いです。
さらにいうなら膝というものは絶妙なバランスで成り立っています。原因が一か所だけの時もありますが、複合して色々な要素が重なって痛くなってしまっている場合もあるのです。
その場合でもまずはレントゲンなどを撮ることです。まずしっかりと科学的に検査をして器質的な破壊がおきていないかどうかを知ります。
軟骨が悪くなっているうえに、ランナー膝や過緊張がある場合もあります。この場合は少し厄介なことになってきます。この記事にあるような整体法も加減しながらやらないと逆に痛めてしまうこともあるのです。(しかし加減の仕方によっては上手く出来ずに効かないことも多々あります)
他の例としては『外側側副靭帯の損傷』がありながらも『外側側副靭帯の過緊張』があり、過緊張をぬくことで「不安定感は少し残るが、痛みは無くなった」というケースもあります。(この場合は痛覚は靭帯の損傷部からきていたのではなく、過緊張部からきていたと言えます)
このように『膝の痛み』というのは「水がたまっているから痛い」とか「軟骨がすり減っているから……」という一元論的な簡単な話ではなく、もっと複雑にからみあって生じている場合が多いのです。
さらに人それぞれ重症度も違います。
このサイトで紹介しているように『レントゲンなどの検査で異常がないのに痛い』場合は記事をよく読んで自分で治していくことが出来るのですが、『レントゲンなどの検査で異常が顕著にある』場合は【治し方④】などを自分で行うのは難しいかもしれません。
それでも〈知ることは力〉なので、まずはこういったさまざまな原因があることを踏まえて次の行動を考えていくのが最善かと思います。