失敗しない【腰痛体操と予防の筋トレ】(間違ってやると悪化します)

腹筋運動

この記事は『腰痛体操』と『腰痛予防の筋トレ』の効果的な方法についての説明をしています。

■もくじ

1. 腰痛予防に『体操やストレッチが必要な人』と『筋トレが必要な人』の違い

2. 効果的な『腰痛体操』と『筋トレ』のやり方

3. まとめとワンポイント

・この記事を書いている僕は治療家歴14年。整体・整骨院経営。専門学校その他で手技講師として活動しています。



【腰痛体操と予防の筋トレ】

1.腰痛予防に『体操やストレッチが必要な人』と『筋トレが必要な人』の違い

腰痛が慢性的まんせいてきになっている方はいつも不調な日々をおくられていることと思います。

慢性的な腰痛にたいして「骨をささえるため筋トレをしなさい」と言われることがあります。

しかし人によっては筋トレは逆効果になってしまう場合があるのです。

筋トレとは

足の筋トレ

『筋肉のトレーニング』とは筋肉をちぢめる動作です。

トレーニングをすることによって筋肉は持久力・瞬発力がつき大きくなりますが、柔軟性が落ちるのです。

歩く・走る・蹴る・投げる・打つ・跳ぶ・泳ぐ・殴る・組み合う・持ち上げる・運ぶ・腕立てふせ・腹筋・背筋・スクワットなど多くの運動は分類すると『筋肉のトレーニング』です。

筋肉をちぢめる動作が中心となり筋肉は鍛えられ強くたくましくなり、柔軟性がおちてこわばるのです。

筋肉のトレーニングは良い面と悪い面があるのです。

スポーツ(運動)には色々な要素があります。運動すればどの能力値も基本的にあがるのですが、筋力の能力値の一つである『柔軟性』は激しく運動すると下がるのです。

筋力のステータス①
激しい運動や、筋トレをした後の体の能力値の変化





ストレッチ・ゆっくりのばす体操

ストレッチ

『ストレッチ』や『ゆっくりとのんびり体をのばす体操』は筋肉をのばす動作です。この動作では筋肉は強くも大きくもなりません。しかし柔軟性が高まります。

筋トレに足りない部分をうめてくれるのが、『ストレッチ』であり『ゆっくりのばす体操』なのです。

筋力のステータス②
ストレッチをした後の体の能力値の変化





腰痛にはパターンが三つある

ひとことで『腰痛』といっても原因は色々あります。大きく分けると三つです。

【ケース①……骨を悪くしてしまっている】

これは骨や軟骨がかけてしまったりつぶれてしまったりしている方です。『ヘルニア』『すべり症』『分離症ぶんりしょう』『狭窄症きょうさくしょう』『軟骨なんこつのすり減りやつぶれ』『腰椎圧迫骨折ようついあっぱくこっせつ』などです。

【ケース②……腰をささえる筋肉がたらなくて痛みが出ている】

骨を悪くしていると「骨を支えるために筋肉をつけましょうね」と筋トレをすすめられる場合があります。

たしかに腰回りの筋肉がぜんぜん無い方もいらっしゃいます。その方は腰の筋トレをしなければいけません。しかしこのケースは80歳代~90歳代の方にはいらっしゃいますがそれ以外の年代の方はとても少ないです。

じつは腰まわりの筋肉量は充分たりている方がほとんどなのです。

【ケース③……腰をささえる筋肉の柔軟性がなく、硬くこわばり痛みが出ている】

筋肉がこわばってちぢまり過ぎると張力ちょうりょく(引っぱる力)が過剰に発生します。これにより筋肉自体も痛むうえ、張力により骨盤など筋肉の付着部の痛み・歪みにもつながってきます。

診療をしているとこのケースの人がとても多いです。

※筋肉ゆらいの痛みについて『愛知県理学療法士会誌第18巻第2号』をリンクさせて頂きます。

実際の所【ケース①】と【ケース③】が腰痛のほとんどをしめています。

【ケース①】と【ケース③】が複合している場合も多くみられます。中身の骨も悪いうえにまわりの筋肉もかたまっているのです。



自分はどのケースかを見わける方法

まず病院(整形外科)に行き科学的に検査してもらいます。

レントゲン・CTスキャン・MRIをとります。そこで【ケース①…骨が悪くなっている】かどうかはハッキリします。

次はこのサイトの別記事にかいてある痛みが出ている部位のストレッチや体操をやってみて下さい。それで辛さがかなり軽くなるようでしたら【ケース③…筋肉が硬くなっている】にあてはまっています。

それらがまったく当てはまらない場合は【ケース②…筋肉がたらない】という理由での腰痛となります。ただし本当に少ないです。



2.効果的な『腰痛体操』と『筋トレ』のやり方

腰痛予防の体操・ストレッチ

一度にすべてをやらなくても構いません。日を分けても良いので少しずつ無理なく続けるのが効果的です。(1日1つだけストレッチを行って、5日で5種類やるのでもOKです)




〈腰の骨まわりの筋肉の体操・ストレッチです〉

横になって左足を曲げ、横にたおしていきます。

(この時にお尻にが伸びている感じだとダメです。ウエスト周辺に効いているような体勢になるよう微調整して下さい)

無理をせず弱めにのばし静止します。2~3分ほど待ったら体をまっすぐにもどし逆側もおこないます。

腰のストレッチ





〈腰の横の筋肉の体操・ストレッチです〉

足を開き上半身を斜め前にたおします。(足はがんばって開かなくてもOKです)

無理をせず弱めにのばし、2~3分ほど待ったら体をまっすぐにもどします。

逆側も行います。

腹斜筋ストレッチ





〈お尻の筋肉の体操・ストレッチです〉

このストレッチは膝を悪くされている方は無理をしないで下さい。

あぐらをかくようにして、左足を右太ももの上にのせます。

左膝を上から軽く押して、体を丸くします。

(この時に左のお尻に効いているようだと上手くできています。びみょうに動かしてお尻に効く体勢を作って下さい)

無理をせず弱めにのばし静止します。2~3分ほど待ったら終了です。逆側も行います。

外旋六筋ストレッチ





〈腰からお腹にかけての内部の筋肉の体操・ストレッチです〉

このストレッチは少し難しいです。形を間違えると腰骨に負担がかかってしまうので、【ケース①…骨に異常がある方】は無理をせず、他のストレッチを行って下さい。

写真は右のお腹の深部をのばしています。

両手をついて左足をまげ、右のお腹をのばします。

(この時にお腹や腰の横がひっぱられる感覚があれば上手く出来ています。逆に腰の骨に圧迫感がある場合は間違えています。体勢を微調整してお腹~横に効くようにして下さい)

無理をせず弱めにのばし2~3分ほど待ったら体をまっすぐにもどして終了です。

逆側も行います。

腸腰筋ストレッチ






〈腰から太ももにかけての体操・ストレッチです〉

こちらは少し辛い体勢をとるので、【ケース①…骨に異常がある方】は無理をせず出来る範囲で行って下さい。

足をのばし上半身を前にたおします。

無理をせず弱めにのばし、2~3分ほど待ったら体をまっすぐにもどします。

背部ストレッチ

※ストレッチのくわしいやり方についてはこちら






腰痛予防の筋トレ

骨をささえる深部の筋肉を鍛えるトレーニングです。(若い方は筋トレよりストレッチの方が腰痛予防に効果的です)

〈高齢の方におススメの筋トレです〉

膝を立ててあおむけに寝ます。両手をお腹にあてます。

お腹に力を入れていきます。(背中を床に押しつけるように)

お腹に力が入ったのを感じたら力をぬきます。30回ほどくり返します。

腰痛予防筋トレ①





〈少しキツメの筋トレです〉

うつぶせになって寝ます。

肘から先を地面につけます。(広さは肩はばです)

足はつま先だけ地面につけます。(広さは肩はばです)

体をまっすぐにしたままじっとこらえます。(自分の出来る範囲の秒数でOKです)

腰痛予防筋トレ②







3.まとめワンポイント

筋トレをやるのがいけないという訳ではありません。体を鍛えるというのは素晴らしいことです。

ただ筋トレは筋肉をこわばらせる副作用もあり『腰痛をとる』という目的からは逆行しているケースもあるのです。

腰痛がある上でスポーツや筋トレをやりたい人は、運動後にストレッチ系をよりたくさん行う必要があります。







2020年12月17日腰・骨盤の痛み【治療法】